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Q 我が子はよく知らない相手の前では緊張してしまうタイプ、どうすればクラス・学校での人間関係になじめるだろうか?

 急な環境の変化に対して、なじみやすい人もいればそうでない人もいます。人づきあいの側面で考えれば、ひっこみ思案でシャイな人ほどなじみづらいことでしょう。しかし、小学生や大学生のデータからみると、ある程度の期間(平均的には、半年程度)が経てば、多くの転入生が元々在学していた児童・学生と同じ程度に友人関係をはぐくむことができることが示されています。では、シャイな人はどのようにして友人を増やしているのでしょうか?

関係することとして、次のことがわかっています。

・転入生(研究対象は小中学生)の選択する友人は、時間が経つにつれて変化する。具体的は、始めはクラスの中でも少数グループのメンバーとつきあいをもち、徐々に多数派グループのメンバーとも関わるようになる1)

・シャイな新入生(研究対象は大学生)は、始めにできたわずかな友人に、時にサポートしてもらう(例えば、どこか行くときについてきてもらう)ことで友人のネットワークを拡大していく2)


A.始めから多くの友人を作ろうと頑張る必要はありません。むしろ、少なくていいので、何かしらのきっかけで関わりをもった相手との関係を大切にしましょう。その上で、ある程度打ち解けることができたなら、その人と一緒にクラスや学校の他の人と仲良くなる機会に参加するといいでしょう。一人なら不安になったりうまく振る舞えなかったりしたとしても、頼れる友人がいてくれると、普段よりも社交的に振る舞いやすくなるはずです。

たくさんの人と仲良くなりたい、でも人づきあいで緊張してしまうという人は、最初に知り合った少数の人との関係を深めることで、クラスや学校になじみやすくなるといえます。

執筆者 相馬敏彦(広島大学)

文献
1)小泉令三 2010 新しい出会いを活かして―転校を心理学する (心理学ジュニアライブラリ) 北大路書房
2)SOUMA Toshihiko, URA Mitsuhiro, ISOBE Chikae, HASEGAWA Koji, & MORITA Akiko 2008 How do shy people expand their social networks?:Using social surrogates as a strategy to expand one’s network. Asian Journal of Social Psychology. Vol.11 Pp. 67-74.

Q. 自分の住んでいる地域に、故郷の被災者が避難してきたときに気をつけることは?

 今回の震災では、多くの方が故郷を離れ、縁もゆかりもない地域に避難・移動されておられます。そのような方々に対して、同郷であったり何らかの縁がある(かつて東北地方で勤務していたなど)方は、今住んでいる地域でサポートをしたいと思われておられるかもしれません。その際に注意すべき点はなんでしょうか?

A.各地域の県人会ネットワークなどを用いて、「我々は共通点を持つ似ている人」という立場を相手に伝えることです。

 人間や、社会的役割や枠組み(カテゴリー)に属してします。「日本人」「B県人」「Y市民」といったようなものです。この枠組みが共通であると認識できると、その相手を「同じグループの人(内集団メンバー)」と見なすことができます(1。すなわち共通点があるということです。すると、話が弾み、相手の意見も聞きやすくなり、信頼感も増してきます。そのことは避難・移転してきた方たちに安心感や所属感を与えることにつながります。
 しかしその際に、サポートする側で一つ大切なことは、震災の実情や実際に経験したつらい出来事について、細かく根掘り葉掘り聞かないことです。それをすると、サポートする「県人会(など共通点を持つ人たち)」に対する認識が、「似ている人」から「似ていない人(自分とは境遇の異なる人)」へと変わる可能性があるからです。震災の共通体験がないことを根掘り葉掘り聞かれることで避難してきた方が実感し、「この人たちは違う人」と思い、そのことがサポートを受けにくくしたり、孤独感を高める可能性があります。

執筆者:西村太志(広島国際大学心理科学部臨床心理学科)

文献
1)西村太志 2006 わたし(自己)とは何か?-他者との関わりの観点から見た自己- 金政祐司・石盛真徳(編著) わたしから社会へ広がる心理学 北樹出版 p12-30.

Q.  避難・移転しても、これまでご近所だった人とのつきあいもなくしたくはない。ではどんなつきあい方がよい?

 今回の震災では、被災地が広域に及んでいることから、避難・移転先も近隣地域だけに留まらず、広域に及んでいます。全国各地の自治体等が被災者の受け入れを行っています(リストをまとめたサイトは、http://d.hatena.ne.jp/kizuna311/などあります)。そのため、縁もゆかりもない地域への避難・移転を決断された方も多くおられると思います。しばらくは生活の安定を図るために、目の前の問題を解決していくことに時間を費やされると思いますが、少し落ち着いてくると、別の地域に避難・移転された方、また故郷に留まっている方と、電話やメールで情報のやり取りをする機会も出てくると思います。さらに落ち着けば、お互いの避難・移転先を尋ねるといったことも可能となると思われます。そのような時に気をつけておいたことがよいこととして何があるのでしょうか?

A. それは、相手が「自分と同じ境遇である」という前提を持ちすぎないことです。
 我々は、社会に適応していくためには、自分自身の置かれた状態や環境を知ることが求められます。そしてその際には、自分と似た境遇にいる他者と自分の状態を比較し、自分の状況を知ることを行います。これは、「社会的比較過程の理論」としてまとめられています(1当然、同じ震災被災者で、理由あって別地域等に避難している知人などですから、自分の状態を知るための他者として相談したり近況確認をすることは、自然に行うことでしょうし、そのこと自体を避けることはむしろストレスとなるでしょう。しかしながら、違う地域に避難・移転している場合、避難所の仮設住宅の規模や環境、行政の支援体制なども全く同じとは言えません。そのため、「自分の同じ境遇(同じ震災で被災した)はずなのに、なぜこんなにも違うのだろうか?」と思ってしまうかもしれません。もし自分の方が、友人・知人の方より不十分な環境だと思うと、避難・移転した地域での生活を前向きに取り組んでいこうという動機付けも下がる可能性もあります。
 したがって、同じ境遇であるという前提をできるだけ持たずに、話をするほうがよいでしょう。具体的な支援体制や待遇、復興支援の体制環境は、必要以上に掘り下げて聞いたり話したりしないほうがよいかもしれません。むしろ大切なのは、話を聞いてもらったりすることで「情緒的サポート」をやり取りすることです。これは、慰めたり(情緒的支援)、自分の価値を認めたり(自己評価支援)、心理的なつながりや一体感を得ること(所属感確保)を行うことです(2
 また、別地域に避難した人とのやり取りが困難である場合、今住んでいる地域の方との関わりが増えてきます。その際には、県人会などの、共通の地縁や接点に基づくつながりのある方たちと接点を持つことが、現状の環境に馴染むことには意味があると言えます。例えば、A県に移転してきたZ県出身の方であれば、Z県人会をA県内で探し、そこの人と接点を持つことで、共通の背景(故郷の事を知っている)をもち、なおかつ新しい地域の情報も持っているということで、気軽に相談や情報提供をお願いすることもできるのではないでしょうか。

執筆者:西村太志(広島国際大学心理科学部臨床心理学科)

文献
1) Festinger, L. 1954 A theory of social comparison process. Human Relations, 7, 117-140.
2) 橋本剛 2005 ストレスと対人関係 ナカニシヤ出版

Q.たくさんの人と話し合いをするときに、気をつけることは何か?

今回の大震災では、私たち一人一人の力では解決できないような問題を前にして、年齢や出身地、立場などが異なる、たくさんの人と話し合いをする機会が多いと思います。避難所の運営方法やボランティア支援の在り方、地域の復興の方向性など、話し合いをもつ場はさまざまでしょうが、たくさんの人と話し合いをするときに、気をつけるべきことは何なのでしょうか?たくさんの人との話し合いは、一対一での話し合いや少人数での話し合いとは違う難しさがあります1) 。

まず、たくさんの人と話しているほど、誰に注意を向ければよいのかがわからなくなります。次に、さまざまな年齢や出身地、立場の人と話していると、関心や知識が多様であり、話の的を絞りにくくなります。そして、一対一の話し合いなら、相手が話し終わったら自分が話すといった具合に交替で話せばいいのですが、たくさんの人と話していると、いつ発言していいか、どのくらい発言していいかが明確ではなくなります。

このような難しさは、それぞれのメンバーが話し合いに集中して取り組んだり、話し合いのリーダーを設けることで、いくらか緩和されることもありますが、たくさんの人と話し合う以上、避けては通れません。話し合いに参加する人が多いほど、年齢や出身地や立場が多様なほど、話し合いはもつれやすくなります。加えて、災害によって疲れ切った心身で話し合うことから、もつれは容易に解消されないでしょう。

A. そこで、たくさんの人と話し合いをするときに気をつけたいのは、意見の違いと、人物の好き嫌いを分けて考えることです。

話し合いのもつれには、意見のもつれと人間関係のもつれの2つがあります2) 。たとえば、意見のもつれは、救援物資として優先すべきなのは衣服かガソリンか、実行すべき対処策はA案かB案か、のようにアイデアが対立するもつれです。また、人間関係のもつれは、話し合いに参加しているメンバーの間で“相手が気に入らない”“反りが合わない”と感じるようなもつれです。

2つのもつれは別のもので、当然分けて考えるべきものですが、私たちは2つのもつれをよく混同してしまいます。問題解決のために話し合っていたはずが、意見の違いからお互いのことが気に入らなくなったり、気に入らないと思っている相手の意見は、良い意見でも賛成したくないと思ってしまう場合があります。つまり、意見の違いと人物の好き嫌いを混同することは話し合いを遠回りさせ、建設的でない方向に導くのです

特に、今回の震災状況での話し合いは、時間的余裕のない緊急性の高いものばかりだと思います。そのような時間的なプレッシャーは、私たちの判断力を奪い、意見の違いと人物の好き嫌いを取り違えやすくします。

年齢や出身地、立場など、さまざまな特徴をもつたくさんの人との話し合いには困難がともなうと思います。しかし、裏を返せば、そこにはさまざまな経験や知識をもつ人たちが集まっているのです。刻一刻と状況が変化して新たな問題が浮上するなかで、一人では解決できない問題も、お互いの経験や知識を活かすことで乗り切れる可能性が高まるのです。

執筆者 木村昌紀(神戸学院大学)

文献
1) 池田謙一(2000). コミュニケーション 東京大学出版会
2) Jehn, K. A. (1997). A qualitative analysis of conflict types anddimensions in organizational groups. Administrative Science Quarterly, 42, 530-557.

Q.新しく知り合った人と話をするときに気をつけることはあるのか?

 震災によって避難所や他の地域で生活することになってしまわれた方々は、これまでの日常生活では考えられなかった多くの人と接することになったと思います。

多くの人と接するというと望ましいことに思われてしまいがちですが、良いことばかりではないと推察されます。人と接することで多くの“良いこと”もありますが、元来、人と接することは“疲れる”ことであり、対人関係の難しい面でもあります。

日常生活であれば、この人づきあいのポジティブな面とネガティブな面のバランスをとりながら、自分に合った人づきあいのレベルを調節しています。ただし、このたびのように非日常的な避難所での生活や住み慣れた地域外での生活を突然強いられた場合には、そのような人づきあいのレベルの調節は難しくなっているのではないでしょうか。

それでは、新しく知り合った人、関わった人とどのように接することが自らの負担にならず、良好な関係を築けるのでしょうか?具体的にはどんな内容の話をするのが適切なのでしょうか?

A.それは、相手と自分とがどれくらい親密であるかに応じて話の内容を調節することです。

たとえば、初めて会った人に対しても自らのことをいろいろと話をすることも多いと思いますが、当然ながら、初めてあった人にする話と数年来の友人に対してする話とは違うと思います。

一般に、出会って間もない頃は、限られた話題について表面的なことしか話しませんが、親密になるにつれ、多岐に渡る話題について深刻なことまで話すようになります。つまり、話す相手との親密さの程度に応じて、話の内容の深刻さを調節しているのです。逆にいえば、この調節がうまくいかなければ、対人関係は良くない方向に向かう可能性が高くなり、お互いにストレスを感じることになります。

被災された方の場合、つらい体験をされており、話の内容も深刻なものが多いと考えられます。そのような深刻な話を自ら抱えこまずに他者に話をすることによって気持ちが楽になる効果もありますが、話す相手によっては逆に嫌な気持ちになってしまうことも考えられます。話す相手が自分のことを受け入れてくれていると思うことができれば楽になるでしょうが、そうでなければ逆にストレスがたまってしまうのではないでしょうか。

つまり、数年来の友人といった親密な人や、初対面であっても信頼できると思える人であれば、深刻な話であろうが気にせずに話しても問題ないといえますが、初対面でまだ信頼関係を築けてない人に対しては、まずは他愛もない世間話から始め、親密になって信頼関係が形成されるのを待ちながら、深刻な話もしていくということがお互いにとってベターであると考えられます。

といっても、話の内容を調節しようとすることは、そのこと自体が負担になるかもしれません。調節しようとするというよりは、出会った人みんなに同じように接しようと無理をする必要はないということです。

執筆者 谷口淳一(帝塚山大学)

文献
Altman, I. & Taylor, D.A. (1973) Social penetration: The development of interpersonal relationships. New York: Holt, Rinehart & Winston.

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震災後の対人行動を考える会(記事毎に執筆者名と所属を明記しています、メンバーは"カテゴリー"から)

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